②中山間地域直接支払制度の交付金の処理について

中山間地域交付金

中山間地域直接支払制度の交付金の処理について・・・あくまで私見)

中山間地直接支払制度の交付金には、農業者に「直接支払われる分」と集落協定に伴う「共同取組分」があります。
正当な計上方法が明示されていませんし、共同取組の経理担当者の能力によっても違いがあるので、処置方法はバラバラだと思います。
その経理方法も、市区町村に合わせて収支(入金と出金を記録したもの)に基づき作成されていると予想されますので、所得税法で求められている収益と費用とは完全に一致していませんし、おそらく共同購入の機械等の減価償却費も計算されていないでしょう。本来は所得税法の収益と費用に組替えをして、各厚生メンバーごとに案分をして通知すべきと考えまが、そこまで経理担当者に求めるのも酷だと考えます。

そこで、当会計事務所での対応を紹介させて頂き、1つの例として参考にして頂ければと思います。
(税務署等から異なる指摘があったとしても、責任は負いかねますのでご了承ください。)
複式簿記を前提に説明しています。また、消費税の課税事業者の方もおられると思い、消費税の課否判定も入れました。

「直接支払われる分」・・・雑収入に計上します。(消費税は不課税仕入)

「共同取組分」・・・集落の担当者から「交付金の額」と「経費の額」の明細が届くと思いますので・・・
・「交付金の額」・・・雑収入に計上します。(消費税は不課税売上)
・「経費の額」・・・・雑費に計上します。(消費税は不課税仕入)
消費税については支払の明細が分かればそれに基づき、 個々に判定しますが、通常は支払額の合計しか明記されていませんので、内容不明につき不課税仕入としています。
・「交付金の額」と「経費の額」との差額・・・集落協定が解散されるまで「中山間地積立額」などの勘定科目を作成し資産の部に計上しておきます。(資産ですので当然に不課税仕入)
解散時に資産の処分が行われ、報告があるでしょうからその内容に応じて「中山間地積立額」を取崩し処理する予定です。

<「共同取組分」の差額はどうなるのか>

この差額の性格は各集落により異なります。預金の残高であったり、もしかしたらトラクターなどの資産として処理しているかもしれません。
いずれにしても、この交付金は何かに使用する以外はありませんので、もしかしたら各人には戻って来ないケースもあるかと思います。
その時には、雑費(消費税は内容が不明なため不課税)とするしかないのではないでしょうか。

前回の精算時には戻ってこず、収入よりも経費が多いとの明細が届きました。

したがいまして、各年の処理として、差額を「中山間地積立額」とせず・・・

個人の場合は各年の差額を「事業主貸」としておき、最終年度(5年ごとの精算時、又は経費の方が多い年)に「事業主借」とする方法

法人の場合には各年の差額を「雑費」(不課税)としておき、最終年(同上)に「雑収入」(不課税)とする方法

・・・でも良いのではないでしょうか。

最近は当事務所ではこのように処理しています

同じ内容を***「共同取組分」の経理処理についてもう1つの方法***にも記載しています。そちらもご参照ください。

(H30.7.15<「共同取組分」の差額はどうなるのか>について加筆)

 

 

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